あなたの会社のネットワークを巡るデータの流れがこのような状態だったら、危機を感じませんか?即座に、アーキテクチャと実装のやり直しを検討するでしょう。移動体通信業界の通信事業者なら、合併や市場動向に合わせるために次から次へと新しいシステムをつなぎ合わせる作業に時間を費やすことになるでしょう。あらゆる種類の互換性のないテクノロジ、つまり、少し例を挙げるだけでも、多様なネットワークデバイス、課金/CRMシステム、レポーティングシステムと格闘するだけで終わってしまいます。さらに、複雑性、非効率性、コストに頭を抱えてしまうかもしれません。配管漏れを起こしている古い家と同じです。
本当にこのような惨事になるのでしょうか。ある大手携帯電話会社の通信事業者は問います。標準的なテクノロジと方法を使用する場合、その答えは「はい」です。しかし、Ab Initioを使用するなら答えは「いいえ」です。そこで、この顧客は、システムの徹底的な調査をAb Initioに依頼する決断を下しました。
Ab Initioは、まず、通常のテクノロジの寄せ集めを調べることから始め、すべてを仲介していたのが大量の手書きのC++コードだとわかりました。問題の根源はそれらの仲介アーキテクチャの柔軟性の欠如が原因でした。上流や下流のシステムを変更すると、さらに多くのカスタムC++コードを必要としており、あらゆる回避策が大量に実装されていました。そのため、毎日数億件も発生するCDRのデータ量に対応できず、数日かけて処理されていました。
そこで、Ab Initioは再設計にあたり、次のようなアーキテクチャ原則を設定しました。
詳しい内容は後述しますが、プロジェクトは成功しました。もちろん、Ab Initioではこうしたことはあたりまえです。業務に不可欠なこのシステムを構築するのに、試運転テストの開始から稼動まで12か月かかりませんでした。現在、仲介システムは1日のすべてのデータ量を以前のハードウェアのごく一部で処理し、遅延は日数単位ではなく分単位に短縮されました。運用システムおよびレポーティングシステムは、ほぼリアルタイムで業務を追跡管理できるようになったのです。経営者がリアルタイムのデータが必要であると判断した場合、システムはその要望に応えることができます。最終的に、新しい仲介エンジンが持つ“メタデータ駆動”の柔軟性のおかげで、上流および下流のシステムのボトルネックも迅速に解決され、カスタムC++コードのほとんどは不要になりました。
ここで、技術者向けに、技術的な詳細の一部をご紹介します。
Ab Initioは、多くのさまざまな入力ストリーム形式(音声通話、データレコード、マルチメディアなど)を取得し、重複を排除してデコードされた強力なCDRを生成できる、単一の汎用CDR仲介システムを設計することで、この課題に対応しました。これらのCDRはAb Initio®キューに発行され、さまざまな下流システムでいつでも使用できます。
重複を排除してデコードされたデータをAb Initioキューに発行することにより、開発チームはデータのデコードと書き込みは一度のみというアーキテクチャ原則に従うことができました。これらのキューは、複数の独立したサブスクライバ(リーダー)をサポートする低遅延の並列デバイスです。その結果、すべてのサブスクライバがレコードを消費するまでデータはキューに保持され、リカバリ可能メディアへの保管が必要なデータのコピーは1つで済みます。
現在、仲介システムは各入力データストリームのデータ形式と処理ロジックの変更に対応でき、大規模な開発プロジェクトを編成する必要はありません。これは、仲介システムを“メタデータ駆動”にすることで実現しました。結果として、各データストリームが個々に必要とする要件は、汎用の仲介処理フローから切り離されます。つまり、すべてのデータストリームは1つの汎用の方法で処理され、データストリームごとの形式および処理は、それが必要なところでだけ動的にロードされ処理を行います。
従来、柔軟性とパフォーマンスの間や、実装の期間とそれが使われる期間には、両方実現することが難しく妥協することもありました。Ab InitioのCo>Operating System®を基盤として構築されるAb Initioのソリューションはこの伝統への挑戦でした。データ量は倍増しつつありますが、上流および下流のシステムにはこれに順応する柔軟性が備わっているだけでなく、開発は従来にない速度で行われ、保守の簡素化と軽減も実現しています。
Ab Initioでは革新が伝統に優先します。